ヴァナだけでなくもはんも楽しいよ。うんうん。
【ミナガルデ狩猟記:メル(特別読み切り小話編)】
尻尾も翼爪も切り落したと言うのになんてタフ。追い詰めたと思ったらすぐに場所を変える知能の高さ。たぶん金冠サイズ、少なくとも銀冠の上。んむ、桜レイアめ、伊達にそこまで大きく育ったわけじゃないって事…だね。
「メルちゃん、もう時間が無いよ。」
んも〜。無駄に大きいんだってば。近付けば飛び立っちゃうし、も〜ウザい。も〜。押しては引くなんて竜には百万年早いってば。しかも逃げてる訳じゃなくたぶん戦略的撤退。このサイズでこの狡猾さ。まったく…も〜いや〜。
「うん、了解。とにかくギリギリまで諦めずいこ!」
メルとイザヨイ、いつものようになにげに二人で出掛けたクエスト、リオレイア討伐。たぶんに楽勝、用意周到、準備万全で臨んだはずだった。ちょっとした誤算は相手が少しばかり大きくてそして少しばかり貴重種だった事。
お互い消耗戦、じわじわと体力の削り合い。その背に背負う朱色の竜刀が煌き、幻の軽弓タツジンボウガンが火を噴けば、その巨躯で群がるモノを吹き飛ばし、距離があると見れば巨大な火球で焼き払った。場所を変え、方法を変え、何度も何度も切り結ぶ。メルとイザヨイの二人は死力を尽くして竜を追い竜に追われた。
時には戦線を離脱してアオキノコと薬草、それにハチミツを落として回復薬Gを現地調達したりもしたが…。
ミナガルデより西へ伸びる数�の森、そこで繰り広げられていた二人と一頭の戦い。真上にあった太陽がゆっくりと夕日へと変わり、沈んでいく。雲ひとつ無い青空に朱が混じり、混じった朱は空全体を支配していく。そして静かに闇は訪れつつあった。大きく羽ばたいたリオレイアの桃色の巨躯もその闇にゆっくりと飲まれていく。最後に一吼えするとあざ笑うかのように旋回してそして消えた。
その姿を臨戦体制のまま仰いでいた二人。飛び行くリオレイアを追い刹那また走り出そうとするメル、しかしすぐにそれは諦めた。そのメルの姿を確認するとボウガンを肩に担ぎ直すイザヨイ。二人は悔しげに呟き、そして闇を睨んだ。
「…これ以上は駄目だね。もう追えない。」
「くやしぃ…今回は失敗…だけど。次、がんばる。」
静かなる闇の訪れはヒトの時間の終わりを知らせる。そしてそれはヒトであるハンターにとってクエストの失敗を意味していた。しかし一度や二度の失敗で諦める事はない。その命の灯火がある限り闇は払うことが出来る、何度でも挑戦は出来るのだから。
…いやクエスト失敗しただけなんだけどね(笑)あ〜いっちゃんのクロオビだっけ?タツジンだっけか?