いざ×メル同盟

久しぶりに小話。続きはWEBで！元々WEBだ！

「どうか…な？」
これはたしかにマズいかも。
「ちょっとした試験というか〜お遊びというか〜なんというか〜」
巷で噂の天才少女（笑）エミリア・パーシバル、いや今はミューラーなんだっけ？
「まさか…ね、皆があんなになっちゃうとは…さ、困ったぁ、はふ〜」
ぬは、気の抜けた顔だねぇ。君のパートナーとして…いや、違う違う。ほんとマズいね。コレ。

「これさ、どのくらい出回ってるのかな？」
めるは「なんつ〜か凄い疑似体験をほんと手軽に楽しめる！すげー！」が売りのVRポータブルからフォトンUMDを取り出しながらエミリアに問いかける。
…あ…めるはメルね。メル＝フェイン。いちお「ガーディアンズ」って事になってる。
いちおって言ったのは、あれだ。職業的社会的登録上は「ガーディアンズ」って事。
「ガーディアンズ」としてのお仕事してるか？と言われればしてるようなしてないような？そんな感じ。今回のも「ガーディアンズ」としてのお仕事かもしれないけど、そうじゃない気もするし。元同僚の、今はお友達の問題解決というかなんと言うか。
気の向いた事をやってる、そんな感じ。え〜そんな勝手が許されるのかって？許されるんだなぁ、これがなんでかはまた今度…考えとく。
「元データは数十だと思う。リトルウィング社員にだけ配布…だし。でも今は噂じゃ５０万超えてる？とか…うわ〜考えたくないや。」
くるくると変わるエミリアの表情を見ていると笑いが出てくる。昔はこんなじゃなかったよね。ほんと表情豊か。でも困ってるのは確かっぽい。
「…んで、そのうち、君のパートナーを名乗る人がどのくらいいんの？」
「正直わからない。元々のうちの社員は除くとして、大げさじゃなくて、コレで疑似体験をした人ほとんどがそゆ認識になってるかもしんない。」
確かに事情を聞いてからコレをやったメルでさえそう思ってるかも。
「自分はリトルウィング社員であり、エミリアがパートナー」だって。

「たしかに私とアイツの実体験だからさ、実際に在った事ではあるんだけど…でもさ、ちょっとした映画というか娯楽用映像だし…」
なんとも歯切れが悪い。なんちゃら博士とは言われててもやっぱ子供だなぁ〜…同じ歳だけど。
「…体験者の記憶に影響を及ぼすような仕組みは組み込んでないはず…ってこと？」
エミリアはコクンとうなずく。そう言えばたしかに違和感はあるんだよねぇ。疑似体験内のエミリアの言動や行動には。だいたいメルの体の大きさでエミリアを「ぎゅ」ってするのはちょっと無理があるし…って（笑）
「これって元ネタ実体験？とすればエミリアさ、かなり恥ずかしい事みんなに告白してるよねぇ、むふ〜」
「う…うるさい！だっておっさん…じゃない、おとーさんが「社員教育用だ」とかなんとかでサ。アイツも「作れば？」って言うし。」
どこで出回ったか…は後で調べるとしてどうしてコレが「洗脳ディスク」になっちゃったかを調べないと対策も打てない。
「…これね、世界設定もそうだけどさ、カムハーンの概念までリアルに作りすぎて、ほとんど同じものが出来ちゃってるんじゃないかな？このディスクの中には本当にカムハーンが実在してる…そんな感じ」
めるの本当のパートナーであるいっちゃんが疑似体験を終え戻ってきたらしい。いっちゃんは大蛇丸十六夜。職業は「ガーディアンズ」か「どこかのお嬢様」なんか凄い家の。
「元々彼ら旧文明人はデータ生命みたいなモノだったし…一連の事件の中で「仮死化現象」ってのがあったでしょ？あれに似た状態になってるんじゃないかな〜？今回のは仮死じゃなくて「なりきっちゃった」って感じだけど」
すごい、いっちゃん。すごく簡潔にまとめちゃった。める、コレから活躍ってトコだったけど、まあいいか。
「やっぱそうか〜。作ってる時さ、実はちょっと凝りすぎてテンマ使っちゃったんだ〜」
「それはやり過ぎ、とにかく「なりきりパートナー」をなんとかしなきゃね。対策は………」
まあ〜原因がわかれば後はなんとかなるんじゃないかな〜。エミリアは天才らしいし。いっちゃんにも何か策があるようだしね。

しばらくして、新しいフォトンUMDが完成した。対策ディスクってやつ。まあ出回ってるバグを直すパッチみたいなもんだね。エミリア立身物語ver２って感じ。
エミリアもいっちゃんも寝ずに作業したはずだけど、めるは寝てたけど。それなりに晴れやかな顔してる。

「しかし、体験するだけで人格まで影響を及ぼすディスク…凄いモノが出来ちゃったねぇ…まあ本当のエミリアのパートナーであるわたしには効き目なかったけどね」
…そうか！まずは、いっちゃんから試そう、対策ディスク。