もはん小話:狩猟の12 討伐の資格~ココット村~

 その情報は夕刻近くにブランカからもたらされた。この村に来る途中の森で数匹のランポスが出没していたという。それだけならばさほど珍しいことでもなく村に被害が出るようならばハンター達によってすぐに討伐されることであろう。しかしランポス達は集団でアプトノスを狩るとその場で食事をせず、哀れな食材と化したアプトノスをどこかに運んでいったというのである。
「…そのような時には決まって彼らの王、ドスランポスが近くに居るわね。」
 ブランカはすぐに引き返すと言い、さらにこう付け加えた。
「そしてメルが追い掛けていったわ…たくさん怪我もしてると言うのにまったく困った人ね…。」

 夕闇も近付き沈み行く夕日に照らされるココット村。ココット村の夕日の赤さは獣達の流した血の色だとも言われる。そんな業深き朱に染まりながらイザヨイは先ほど到着したミナガルデからの荷車を物色していた。麻痺弾を作る為の【ゲネポスの麻痺爪】がないか行商人に声を掛ける。砂漠が近ければ自分で取りにいくのだがココット村からは少し距離があるしインジェクションガンの改造も終わってはいない。放つボウガンが無ければその弾のみあっても意味がないというのは分かるのだが…。なんとなく落ち着かないイザヨイを見つけるとサンクとツゥが走り寄ってきた。
「いちこさ~ん。」
「いちこさん?」
 イザヨイはオウム返しに聞き返した。サンクの言う「いちこさん」と言うのが自分の事だと気付くまでほんの数秒を要した。
「ああ、こんばんみ~。サンちゃんにツゥさんどしたの?」
「ドスが!ドスがでたッス!」
「ドス?ドスなに?」
 数多くの獣が居るこの世界。なぜか分らないがドスなんちゃらという名前が多い。なにか危険な獣が出たと言うのはサンクの慌てぶりで分ったがドスだけでは何が出たかわからないのである。
「ドスラン(BO)スっスよ!!」
「…いやたぶんそれドスラン(PO)スじゃない?」
 え?っと言うサンクと頷くツゥ。一瞬の空白がありサンクはドサリという音と共に両手を付いてうな垂れた。
「サンクタソ、ソンナこみかるむーどデモナカロウ?」
 いつも冷静なツゥに突っ込みを入れられ我に返るサンクは慌てて話を続ける。
「そだったッス。ドスランポスが出たッスよ。これは感だけどたぶんに前にめるめるを襲ったアイツッス。んで誰かハンターがこの闇の中討伐に向かっていったらしいっスよ。…村長は言わなかったけどどうもそれめるめるじゃないかって思うッス。」
 闇は獣達の支配する世界、これはどんなハンターでも常識中の常識である。一流のハンターであっても、いや一流であるからこそ間違いなく躊躇する闇の世界。進んでその世界に向かうものは闇さえも払う力を持つ超一流か三流以下それどころかハンターですらないものだけだ。
「…討伐依頼は出てるの?」
 イザヨイはサンクに問い掛ける。サンクは頷く。依頼主はココット村長。
「依頼内容と条件は?」
「討伐時間は無制限。成功報酬は1000z。達成条件、ドスランポス1頭とその支配下のランポス全てを討伐せよ。先行したハンターの生死は…不問。」
 ここでサンクは悔しげな表情を見せる。その理由は条件に満たない自らの不甲斐なさ。
「…特殊追加条件がひとつ。ハンターランク13以上のモノに限る。…以上っス。」


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